ヨハネス・フェルメールといえば『真珠の耳飾りの少女』『牛乳を注ぐ女』といった作品で有名な17世紀オランダのバロック期を代表する画家です。
2019年2月3日までは上野の森美術館で、2月16日から5月12日までは大阪市立美術館で「フェルメール展」が開催中です。
「フェルメール展」は東西で累計100万人超の来場者を記録するなど大盛況です。
10連休となる今年のゴールデンウィークには「フェルメール展」に行く方もいるのではないでしょうか?
今回はフェルメールの代表作の一つ、『牛乳を注ぐ女』についての記事です。
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フェルメールの『牛乳を注ぐ女』とは?
『牛乳を注ぐ女』とはフェルメールの代表作の一つで、1658年~1660年頃に描かれたとされています。
現在はアムステルダム国立美術館が所蔵しています。この美術館はフェルメールと同時期に活躍したオランダの画家、レンブラントの『夜警』も所蔵しています。
『牛乳を注ぐ女』はキャンバスに油彩で描かれた作品で、大きさは45.5 cm × 41 cmとそれほど大きくはありません。
この作品はその名の通り、陶器に牛乳を注いでいる女性が描かれています。
さて、この作品に込められた謎とは何なのでしょうか?
フェルメールの『牛乳を注ぐ女』に込められた謎とは?
まず思うのは「そもそもこの女性は誰なのか」でしょう。
実は『牛乳を注ぐ女』のモデルとなった女性は判明していません。
英語のタイトルは『The Milkmaid』であるものの、この女性は「ミルクメイド(乳搾り女)」ではなく、ただの台所担当の「キッチンメイド」もしくはただの「メイド」とされています。
この作品が描かれたころ、ミルクメイドやキッチンメイドは「性愛」「性交渉」を想起させる存在でした。
また、女性の足元に描かれた足温器も多くの画家が女性の性的興奮の象徴として描いていますし、「牛乳」自体にも卑猥な暗示の意味があります。
つまり、『牛乳を注ぐ女』は見た目とは裏腹に、そのような男性の隠された欲望を内包しているという解釈が出来るのです。
しかし、この作品には女性に対する官能表現へのほのめかしは存在せず、ただ勤勉な女性を描いた作品であるという解釈も存在します。
次に、「この女性は何を考えているのか」についてです。
女性の顔半分には陰が落ちており、ただ牛乳を注ぐことに集中しているのか、何か考えることがあるのかが謎なのです。
その表情はどこか悲哀を感じさせるものの、わずかに微笑んでいるようにも見える、何とも言えない表情をしています。
もちろん真実は作者であるフェルメールしかわかりません。
いろいろな解釈が出来るため、今でも愛される作品となっているのでしょう。
まとめ
フェルメールの『牛乳を注ぐ女』はいろいろな解釈が出来る作品であり、謎も多いです。
今後明らかになる可能性はかなり低く、これからも我々の解釈次第の作品として愛されていくのでしょう。
ちなみに、今回の「フェルメール展」では『牛乳を注ぐ女』は東京限定の公開であり、大阪では公開されないことに注意してください。
しかし、『真珠の耳飾りの少女』と違って『牛乳を注ぐ女』は今後も来日の可能性があります。
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見逃した人は今後の公開に期待しましょう。