2019年1月6日よりNHK大河ドラマ第58作、『いだてん〜東京オリムピック噺〜』の放送が始まりました。
その主人公の一人が金栗四三(かなくり しそう)です。演じるのは中村勘九郎さん。
金栗四三は日本人で初めてオリンピックに参加した選手なのですが、そのマラソンでのタイムが凄いと話題になっています。
今回は金栗四三がストックホルム五輪で記録したマラソンのタイムについての記事です。
金栗四三はストックホルム五輪で行方不明になった!?
実は金栗四三はストックホルム五輪でゴールしていません。
彼はレース途中で日射病にかかり、意識を失って倒れてしまったのです。
レースが行われた日は最高気温40°Cという記録的な暑さで参加者のうち約半分が棄権する過酷な条件でした。
近くの農家で介抱されたこともあり大事には至らず翌日には目を覚ましたものの、当然レースは終わっており、そのまま帰国することとなりました。
このことは「レース中に消えた日本人」としてスウェーデンでは話題になっていたそうです。
「近くの農家が選手を介抱」「最高気温40℃の中レース」などは今の感覚だと信じられないかもしれませんがストックホルム五輪が行われたのは100年以上前の1912年ですからね。
このことを知ると金栗四三のストックホルム五輪での記録は棄権による「記録なし」だと思われそうですが実はそうではありません。
実はこの話には続きがあるのです。
金栗四三がストックホルム五輪で記録したマラソンのタイムは?
時はストックホルム五輪から55年後の1967年に飛びます。
金栗四三はスウェーデンのオリンピック委員会からストックホルムオリンピック開催55周年を記念する式典に招待されました。
実は金栗四三の棄権はオリンピック委員会に伝わっておらず、「競技中に失踪し行方不明」という扱いでした。意識を失ってしまったのだから当然ともいえますが。
つまり「まだゴールしていない」とも解釈できるのです。
このことに気が付いたオリンピック委員会が式典で金栗四三をゴールさせることを思いついたのです。
招待を受けた金栗四三は競技場をゆっくりと走ってゴールテープを切りました。
この時「日本の金栗、ただいまゴールイン。タイム、54年と8ヶ月6日5時間32分20秒3、これをもって第5回ストックホルムオリンピック大会の全日程を終了します」とアナウンスされたようです。
スポーツの素晴らしさが分かる粋な演出といっていいでしょう。
まとめ
金栗四三がストックホルム五輪で記録したマラソンのタイムは54年と8ヶ月6日5時間32分20秒3です。
言うまでもありませんがこの記録はオリンピック史上最も遅いマラソン記録です。
しかしこの記録は正式な記録としては認められていません。記録上は「途中棄権」になってしまいます。
決められたコースを走ってないので当然とは言えますが。
とはいえスウェーデンのオリンピック委員会の気づきが無ければこの記録も生まれませんでした。
日本の「マラソンの父」金栗四三だけでなくスウェーデンのオリンピック委員会にも感謝ですね。
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