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近年どんどん勢いが増している麻雀のプロリーグ・Mリーグ

Mリーグは2020年に、2年連続で4位以内に入れなかったチームは、チーム編成を変更しなければならないというクビルールを導入しました。

このルールが初めて適用されることになってしまったのが2019-20シーズンの優勝チームであるU-NEXT Pirates。そして、朝倉選手・石橋選手は今シーズン限りで契約満了、要するにクビになることが発表されました。

さて、ルールで定められている以上、両選手のクビ自体はもう仕方ないのですが、そもそもこのルール自体どうなのでしょうか?

今回はMリーグのクビルールについて考えていきたいと思います。



Mリーグのクビルールはクソルール!

自分の意見としては、選手をクビにするかどうかはチームが決めるべきで、ルールで強制すべきではないというものです。

そもそも、他のほとんどのプロスポーツでも選手との契約はチームに委ねられています。麻雀もそれでいいと思いますし、運の要素が強いという麻雀という競技の性質も考えると、やはり強制クビルールは合わないと思っています。

以下に理由を挙げていきます。

単純に重すぎる

一番の理由としては、単純に「クビ」という事実があまりにも重すぎるという点。2021-22シーズンセミファイナルシリーズの最終日1戦目に出場し、ラスを引いた石橋選手の涙のインタビューは印象に残っている人も多いと思います。

あのラスにより最終戦の条件が厳しくなり、最終戦に出場した小林選手も条件を満たすことができず、パイレーツは敗退。クビルールが適用されることになっていまいました。

そしてクビになるとしたら、過去の成績がチーム内で最も悪い石橋選手が対象になる可能性が高い、というのは自分でもわかっていたと思います。それがインタビューでのあの涙に繋がったのは明白。



さて、あのインタビューを見ていて、本当に面白かったですか?40過ぎのおっさんが人目も憚らず、何十万人もの視聴者が見ている中で号泣するのは異常事態。しかも避けようもないヤミテンの12000への放銃とか、不運としか言えないようなラスでした。

この半荘でトップを取ったのは風林火山の松ヶ瀬選手でしたが、風林火山は既に大トップ2回が必須なポイント状況に追い込まれており、このインタビューも悲壮感漂うものでした。

二人のインタビュー後にインタビュアーの松本圭世さんがもらい泣きするほどであり、放送事故に近い状況だったと思います。

自分は一視聴者としてあまりにも重すぎて見ていられませんでした。Mリーグはあくまでエンタメであり、残酷ショーではありません。

さらに「クビ」になったという事実は消えることが無く、今後の麻雀プロ人生にマイナスに作用する可能性があります。ファンに「弱い人・クビになった人」と思われたままなのは辛いでしょう。もちろんMリーガーになったことでファンも増えるので、マイナスばかりではないでしょうが、本人としてはいい気はしないはず。



サポーターへの影響

Mリーグはプロ野球やJリーグのように地域に根差しているわけではないので、ほとんどのサポーターは選手個人のファンから入っているのではないかと思います(確証は持てない)。

ではその好きな選手がクビになったら……?Mリーグ自体から離れてしまう可能性があります。その選手が出ている他の対局を見るのか、麻雀を観なくなるのかはわかりませんが。

これがプロ野球のように完全に文化として定着しているのだったら話は違います。例えば名古屋在住の中日ドラゴンズのファンは、好きな選手がクビになろうと移籍しようと中日ドラゴンズのファンで居続ける可能性が非常に高いです。好きな選手が複数いることも多いでしょうし。そもそも4人しかメンバーがいない麻雀と、何十人もいる野球では選手一人の影響が違いすぎます。

実際にパイレーツは次シーズンは2人の選手を入れ替えることになるのですが、半分が入れ替わったらもはや別チーム。今までの4人の雰囲気が好きだったサポーターが離れてしまうかもしれません。

Mリーグは文化として定着しているような段階には達していないため、選手を強制的にクビにするようなルールには慎重になるべきだったと思います。もう遅いですが。



チーム戦への影響

Mリーグは「いま、最高の個人競技が、最高の団体競技になる。」というキャッチコピーを掲げています。

しかし、クビルールがあると、チーム内での争いが発生してしまう可能性があります。個人のポイントを意識した打ち方になってしまったら、それはもう団体競技では言えないのではないでしょうか。

もちろん、誰をクビにするかはチームが決める以上、ポイントだけを考慮するわけではないとは思いますが、終盤のタイトル争い以外では「チーム戦」であることを第一に意識して打って欲しいというのが正直なところ。



ちなみに2022-23シーズンは風林火山、ドリブンズ、雷電の3チームがクビルール適用の可能性がある中戦うことになります。

仮にこれらのチームが2021-22シーズンの雷電のような敗退濃厚の状況に追い込まれてしまったら……?チーム内の誰かがいなくなるのが確定しているのだから気が気ではないでしょう。

また、個人ポイントがクビに影響を及ぼすとなると、誰が出るのかで揉める可能性があります。負けている選手は挽回するために出たいし、勝っている選手がマイナスを恐れて出たがらないという逆転現象が起こる可能性も。これだと完全にチーム戦という前提が崩壊しています。

そんな状況のチームを見ていて本当に楽しめるかどうか、かなり疑問です。そういう意味では雷電は大負けしたのが同一編成の1年目でよかったと思います(笑)。



クビルール賛成派の意見は?

とはいえ、クビルールへ賛成する人も多いとは思います。考えられる理由としてはいくつかあります。

マンネリ化への懸念

まずは「選手の入れ替えがないとマンネリ化するのではないか」という意見。確かに、新しい選手が増えることで新鮮に見れるというのはあると思います。実際に2021-22シーズンは5人の新Mリーガーが参入し、1人が移籍するという大きな入れ替えがありました。このシーズンは確かに新鮮だったとは思います。

これにより全チームが4人編成になり、さらに4人編成がルールで定められた以上、今後ここまで大きな入れ替えが起こる確率は低いでしょう。マンネリ化を懸念する人がいるのはわかります。

クビルールは2年連続で上位4チームに入れなかった時に発動するので、確率的には毎年2チームが入れ替えを強制されることになります。

仮に2人入れ替わったところで、その選手が対局するのは週に2回程度。それでマンネリ化の解消に繋がっているかというと疑問です。ほとんどの対局者はいつものメンバーなのだから。



そもそも、Mリーグはまだ歴史も浅く、マンネリ化を懸念するような段階には入っていないと思います。2020-21シーズンは堀慎吾選手の指名以外変わりませんでしたが、翌シーズンは大きな入れ替えがあったこともあり、マンネリ化を指摘するような声はほとんど聞こえてきません。

仮にマンネリ化するほどMリーグが続くのであれば、その時は新規参入チームを入れることを考えるのもアリだと思います。新規参入チーム、もしくは下部リーグの創設でマンネリ化は解消されるかと。

少なくとも今はまだその段階ではないので、今いるサポーターやファンを大事にしつつ、新たなファンを獲得することを考えるべきでしょう。ルールによる強制的なクビはあまりにもマイナス面が大きすぎる気がします。

結果を残せていない人が続けられる

クビルールが無いと、毎年個人成績がマイナスの選手がMリーガーでい続けられてしまうのではないか、という懸念をする人がいると思います。

個人的にはそれで何の問題があるの?としか思いません。

何度も書いているように麻雀は運の要素が強く、実力者が負けることもあるゲームです。1人1シーズンでせいぜい20~30半荘程度、しかも相手は全員がドラフトで選ばれた実力者となれば、安定して勝ち続けるのはほぼ不可能

さらにMリーグは麻雀の成績以外の、広告塔としての役割も求められます。単純に見た目がいいとか、それだけでも価値があると言えます。

そういう点も考慮し、毎年負けている選手と契約すべきかは全部チームが決めればいいだけの話だと自分は思います。プロ野球でもほとんど戦力となっていなかった斎藤佑樹選手と日本ハムが契約を続けていたように。



チーム側の事情

クビルールがあることで、チームからすると選手を入れ替えやすいというメリットがあるのではないかという話です。

4人という上限が決められている以上、誰か入れたい選手がいるなら、今いる誰かをクビにする必要があります。クビルールのおかげでそのルールの大義名分の元に入れ替えができるとも言えます。

選手をクビにするのは印象が悪い行為ですし、実際にフェニックスが和久津選手をクビにした際は多くの反発の声が寄せられました。一方でパイレーツの場合はそれほど批判は寄せられていません。入れ替えがあること自体はルール上ファンもわかっていましたし、覚悟ができていましたからね。

クビにしなくてもいいのにクビにするというのは、このように叩かれるリスクがあります。ルールで定められたクビならば誰をクビにするかはともかく、クビ自体は「仕方ない」で終わりです。

しかしそれはチーム側の事情であり、選手やファンには関係がないのではないでしょうか。クビにしたければ堂々とすればいいし、それに対する批判はチームが責任を持って受けるべきでしょう。

もちろん成績が振るわない選手が出たとき、その選手をクビにしろという声が上がる可能性は高いと思います。その声を聞くかどうかも全てチームの判断でいいのではないでしょうか。



まとめ

自分は、Mリーグでのクビルールはまだ不要なのでは、と思っています。メリットに対してデメリットが大きすぎる気がしています。

仮にルールで決めるにしても、せめて2年連続レギュラーシーズン敗退くらいの条件にすべきではないでしょうか。いくら麻雀が運の要素が強いとはいえ、8チームしかないのに上位6位以内に2年連続で入れないようなら、それは誰かがクビになるようなペナルティがあってもまだ仕方ないかと諦めはつくと思います。

麻雀というゲームの性質を考えると、今のルールはあまりにもシビアですし、マンネリ化を懸念するにはまだ早いのでは?というのが自分の意見です。このルールで得をするのはMリーガーになりたいプロくらいなのでは……?

もちろんこの意見に反対する人も多いでしょう。そういう人も来シーズンどういう考えになっているかはわからないと思います。

それは自分自身もそうで、もしかしたら今後クビルールがあった方がスリリングで面白いと思う可能性もなくはないです。

石橋選手・朝倉選手お疲れ様でした。今後のMリーグにも注目していきたいです。