ワールドカップでは2018年ロシア大会から導入され、現在はお馴染みとなったVAR(ビデオアシスタントレフェリー)。
確かに明らかな誤審が減ったという意味では成果が上がっているものの、VARのせいでサッカーがつまらなくなったという意見もチラホラ見かけます。
ではなぜVARは批判されているのでしょうか?
今回はVARについてです。
VARのせいでサッカーがつまらない?
VARのおかげで判定の正確性が増したのは誰もが認めるところではあると思います。
しかし、そのVARのせいでサッカーがつまらないという意見が散見されるようになりました。
実質3-0!完璧な崩しを2点も奪いやがって!VARはつまらないから廃止すべき!!😡😡😡
— みや (@miyas_interests) October 19, 2022
やっぱVARつまらないわ
— 全力全開のMASA (@Jubilosapo_fate) December 13, 2020
今のサッカーってつまらないな。
ちまちまVARするなよなー
ゴールが気持ち良くない。
本当に重要な時だけすれば良くない?#コンサドーレ— コバーン (@kartcban) August 7, 2022
その理由はいくつか考えられます。
判定に時間がかかる
VARのせいでサッカーがつまらなくなったと言われる最も大きな理由は、判定に時間がかかるというところでしょう。
何なんVAR
試合が止まってつまらない— まっつん (@ns0UbBvVEI2uBKv) June 27, 2021
特にゴールシーンはサッカーで最も盛り上がるシーンではあるのですが、ファールやオフサイドがあった可能性がある場合、すぐには喜べません。長い場合は5分くらい待たされ、熱も冷めてしまいます。そのせいでアディショナルタイムも伸び、全体的な試合時間は長くなります。
F東京戦の先制点、岩田に相手選手からぶつかってきて勝手に倒れた件も主審が違えばOFRで取り消された可能性はある。
今回もだけどゴール直後の歓びとか熱狂が失われるのは面白くない。VARはつまらない!— deco@TRICOLORE (@tricolore_1225) September 19, 2022
VARが無かった時代は審判がゴールを認めてしまえば基本的に取り消されることもないため、スピーディーだったのは間違いないところ。目まぐるしく攻防が入れ替わるのがサッカーの醍醐味だったのに、それがVARのせいで薄れてしまうという考えは根強いです。
このテンポの悪さのせいで、VARが叩かれている部分があるのでしょう。
厳密すぎるオフサイド判定
技術の進歩により、ほんの数センチ、数ミリ出ているだけというようなギリギリのオフサイドすら感知できるようになりました。確かに出ているのは間違いないし反則ではあるんだけど、そんな些細なことで得点を取り消すのは……と思ってしまう人も多いのではないでしょうか。
昨日のリバプールとエヴァートンの試合の最後のオフサイドは賛否両論ありそうだな。
たしかにつまらない事も分かるけどVARを使う以上は厳密にやらないも意味もない。劇的なゴールが取消になったのはつまらないけどそれがVAR。でもこれから更に議論してより良いルールを見出していく感じで良いかと。
— jo7-s-h-k (@ShuntaJo) October 18, 2020
VAR導入されてつまらないって言われるのはこんな指先が出てるかどうかみたいなところまでオフになるところだと思うわ
— La joya (@Juventi60966169) September 23, 2022
VARが無かった頃はオフサイド判定は副審の見せ場と言ってもいい場面でした。ところがVARが導入されてからは疑わしい場面ではとりあえず流してみるということが奨励され(オフサイドディレイ)、副審の存在意義が薄れています。VARがいるなら副審いらなくね?と思われても仕方のない状況に。VARが見た方が正確なのは事実ですからね。
確かに判定の正確性は上がったものの、あまりにも厳密すぎるオフサイド判定にはかなりの批判が出ているもよう。さらにVARチェックの時間もかかるため、視聴者としてはイライラしてしまいます。
プレミアリーグのVARとは、ゴールシーンを無理矢理オフサイドにしてゲームをつまらないものにしている。
アナログ作業のくせに「ハイテク」を隠れ蓑にしている、これは本当にアンチフットボールだと思う。、— Always a ReDs🇺🇦 (@always_reds_) April 10, 2021
ちなみにカタールワールドカップでは12台の追跡カメラと、ボールに埋め込まれたセンサーを利用し、AIの補助で素早いオフサイド判定が可能になっています。
とはいえこれはワールドカップクラスのイベントだからこそできることで、普段のリーグでは今まで通り副審とVARがオフサイド判定をすることに。そういう意味では状況はほとんど変わっていません。
PKの増加
VARが導入されたことで厳密な判定ができるようになり、PK(ペナルティーキック)の数が増えている傾向があります。
こんなのPKになるからVARはつまらない。
— くろすけ (@kurosuke_10) September 14, 2022
VARが初導入された2018年のロシア大会では、PKによる得点が過去最高の22点を記録。これまで見逃されていた反則がきちんと適用されるようになったと考えれば悪い事ではないようにも思えますが、さすがにやりすぎでは?と思ってしまうのも事実。
特にそれがどちらともとれるような微妙な反則であった場合には……
サッカーというスポーツにおいては1点の価値が非常に高く、かなりの高確率で点が決まるPKの判定は、どうしてもセンシティブになりがち。
正確性を求められる場面なので難しいところではありますが、現時点ではPKが増えるのは仕方ないかなと思います。
複雑なルール
VARには介入できる事象とできない事象がはっきり決まっています。
VARが介入できる事象とは具体的には
この4つのみ。詳しくはこちらの記事で解説しています。
関連記事→VAR介入の4要件とは?オンフィールドレビューとの違いについても!
逆に言えば、これ以外の事象であれば明らかな誤審であってもVARは介入できません。
このことは特にサッカーのルールに詳しくない人からすると違和感が残るところだと思います。
また、野球やテニスなどの他のスポーツと違い、選手や監督からVARでの確認を要求することができないというのもポイント。チェックして欲しいという要求はできず、そのような要求をした場合は警告の対象にすらなってしまいます。
まとめ
今回はVARのせいでサッカーがつまらなくなったという意見についてご紹介しました。
そもそもサッカーというスポーツ自体がかなり曖昧性の強いスポーツなので、VARの導入にも反対意見があったのは事実。とはいえ、明らかな誤審が減ったという意味では、やはりVARは必要だと思います。
厳密すぎるオフサイド判定については難しいです。
Jリーグでは今までは2Dラインを使用していましたが、2023年シーズンからはJリーグでも3Dラインを使用できるようになり、判定の精度が上がる予定。欧州リーグでは既に3Dで判定をしていたところ、Jリーグでも導入されてどうなるのかは気になります。
ちなみにJリーグ公式チャンネルだと実際の主審とVARのやり取りが公開されていたりするので興味がある人は見てみてください。やっぱりオフサイド判定結構時間かかりますね…
VAR自体の歴史はまだ短いので、今後いろいろ改善されていくといいと思います。